第5次食育推進基本計画の要点——第4次からの変更点と数値目標を整理【2026年6月決定】
2026年6月24日、農林水産省の食育推進会議で「第5次食育推進基本計画」が決定されました。第4次計画は令和7年度(2025年度)で期間が終わり、令和8年度(2026年度)からは第5次計画が現行の計画になります。
公衆栄養学で食育推進基本計画は定番のテーマです。これから国試を受ける人は「第4次」の知識のままでは古くなってしまいますし、給食施設や自治体で働く人にとっても、今後5年間の食育行政の前提になる文書です。この記事では、第5次計画の要点を一次資料(農林水産省の計画本文・概要)に基づいて整理します。
背景と位置づけ:改正食育基本法とセットで理解する
第5次計画を理解する上で外せないのが、直前に行われた食育基本法の改正です。改正食育基本法は令和8年(2026年)5月27日に公布・即日施行され、その約1か月後に、改正法の趣旨を踏まえた第5次計画が決定されました。計画期間は令和8年度からおおむね5年間です。
改正法(令和8年法律第24号)のポイントは、食料安全保障の確保に資する食育の推進が、法律の目的等に追加されたことです。食育基本法の制定(2005年)から約20年が経ち、この間に、新型コロナウイルス感染症の拡大や食料品等の物価高騰で栄養バランスの偏りや食習慣の乱れが見られたこと、食卓と農業等の生産現場の距離が遠くなり生産者と消費者の関係が希薄化したことが、見直しの背景として挙げられています。
「食育」と「食料安全保障」が結びついたのは第5次の大きな特徴です。国試でも、制度改正の背景を問う形で出題されやすいポイントです。
3つの重点事項
第5次計画では、以下の3つが重点事項として掲げられています。
(1)学校等での食や農に関する学びの充実
朝食を欠食する子供の割合が増加傾向にあるなど子供たちの食の乱れが見られるほか、生産現場の実態を知らない子供が増えていることを受けて、栄養教諭等による食生活の重要性等に関する指導や、地域等との連携・協働の下での「農林漁業教育」を推進します。
(2)健全な食生活の実現に向けた「大人の食育」の推進
特に若い世代で、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の回数や野菜・果物摂取量が少ないなど、栄養バランスの偏りや食習慣の乱れが課題です。官民の幅広い連携・協働の取組等により、大人の消費者の行動変容を促す「大人の食育」を推進します。
(3)国民の食卓と生産現場の距離を縮める取組の拡大
「農林漁業体験を経験した国民(世帯)の割合」が減少する中、農林漁業体験機会の提供、生産者と消費者が直接つながる取組、食料の持続的な供給に資する食品の選択等を促進します。
第4次の重点事項(「生涯を通じた心身の健康を支える食育の推進」「持続可能な食を支える食育の推進」「『新たな日常』やデジタル化に対応した食育の推進」)と見比べると、重心の移動がはっきり分かります。コロナ禍を反映した「新たな日常」という言葉は第5次では姿を消し、デジタル化は重点事項から個別施策(デジタル技術を活用した食育の推進)へ位置づけが変わりました。代わりに学校・大人・生産現場という「誰に届けるか」の軸で再編成されています。
目標の立て方も変わった:個人目標と地域目標の2分類
第5次では、目標が取組主体別に2つに分類されました。
- 個人目標: 国民一人一人が自ら実践する目標
- 地域目標: 地域等が主体となって取り組む目標
第4次では目標が一律に並んでいたのに対し、「誰がやる目標なのか」で整理し直した形です。選択肢問題で「個人目標/地域目標の分類」を問える構造になったので、国試対策としては新しい覚えどころです。
押さえておきたい数値目標
目標値は原則として令和12年度(2030年度)です。国試で問われやすそうな代表的な指標を挙げます(現状値は令和7年度)。
個人目標から:
- 朝食を欠食する子供の割合: 6.4% → 5%以下
- 朝食を欠食する若い世代の割合: 28.2% → 25%以下
- 朝食又は夕食を家族と一緒に食べる「共食」の回数: 週8.6回 → 週10回以上
- 主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上ほぼ毎日食べている国民/若い世代の割合: 36.1%/23.8% → 45%以上/30%以上
- 食塩/野菜/果物摂取量の平均値: 9.6g/258.7g/78.1g(令和6年度) → 7g/350g/200g(この3つだけ目標年度が令和14年度)
- 農林漁業体験を経験した国民(世帯/本人)の割合: 57.1%/45.5% → 60%以上/50%以上
- 食品ロス問題を認知して削減に取り組む消費者の割合: 77.2% → 80%以上
地域目標から:
- 栄養教諭による地場産物等に係る食に関する指導の平均取組回数: 月14.1回 → 月15回以上
- 地域等で共食したいと思う人が共食する割合: 70.1% → 75%以上
- 郷土料理や伝統料理を月1回以上食べている国民の割合: 54.7% → 60%以上
- 推進計画を作成・実施している市町村の割合: 92.9% → 100%
食塩7g・野菜350g・果物200gという数字は、健康日本21(第三次)と同じ目標値です(計画本文でも健康日本21を踏まえた値と明記されています)。制度をまたいで同じ数字が使われていることを意識すると、覚える負担が減ります。
なお、目標値は第4次から一律に引き上げられたわけではありません。朝食を欠食する子供(第4次0%→第5次5%以下)、朝食を欠食する若い世代(15%以下→25%以下)、農林漁業体験を経験した世帯(70%以上→60%以上)のように、より現実的な水準へ緩められた指標が複数あります。一方で、食塩摂取量(8g以下→7g)や栄養教諭による指導回数(月12回以上→月15回以上)のように強化された指標もあります。「第4次から第5次への変更点」としては、ここが最も問われやすいポイントです。
国試での出題ポイント
食育推進基本計画は公衆栄養学の定番です。第5次に関しては、次の形の出題が考えられます。
- 「第5次計画の重点事項はどれか」——学校・大人の食育・生産現場との距離の3本柱
- 「第4次から第5次への変更点はどれか」——食料安全保障の追加、個人目標/地域目標の2分類、目標値の見直し(緩和と強化の両方)、「新たな日常」の消滅(デジタル化は施策として存続)
- 「改正食育基本法で追加された内容はどれか」——食料安全保障の確保、PDCAサイクルによる推進
注意点として、国家試験の問題は作成時期の関係で、直近の制度改正がすぐに出題されるとは限りません。ただ、第41回以降を受験する人にとって第5次は「現行の計画」なので、第4次の知識を上書きしておく必要があります。過去問で第4次の内容を問う問題を解くときは、「当時の計画ではこうだった」と区別しながら整理してください。
aiyolabで聞いてみた
このテーマをaiyolabのAIチャットに質問すると、食育推進基本計画や関連する法規を根拠に、出典つきで回答が返ってきます。「第5次計画の重点事項は何ですか」「第4次との違いを教えてください」といった質問で、国試対策に必要な情報を整理できます。レポート作成や栄養指導の下調べにも使えるので、試してみてください。
まとめ
第5次食育推進基本計画は、改正食育基本法(令和8年5月27日公布・施行)を受けて2026年6月24日に決定された、令和8年度からおおむね5年間の計画です。重点事項は「学校等での食や農に関する学びの充実」「大人の食育の推進」「国民の食卓と生産現場の距離を縮める取組の拡大」の3つ。目標は個人目標と地域目標に分類され、朝食欠食・共食・栄養バランス・地場産物などの数値目標が設定されています。第4次との違い(食料安全保障・目標の2分類)とあわせて押さえておきましょう。