高齢者の低栄養スクリーニング、MNA・SGAの使い方

応用栄養学高齢者低栄養スクリーニング国家試験

高齢者施設の食事チェック表に「MNA-SF」と書かれていても、具体的に何を見ればいいのか分からない。アルブミン値だけで低栄養を判断していいのか迷う。こうした疑問は、日々の栄養管理で実際に起こります。高齢者の低栄養スクリーニングには複数のツールがあり、それぞれ評価の視点や使いどころが違います。

MNA-SFの6項目とは

MNA-SF(Mini Nutritional Assessment-Short Form)は、高齢者の低栄養リスクを短時間でスクリーニングできるツールです。6項目の質問で構成され、合計14点満点で評価します。

具体的な項目は以下の通りです。

  • 食事量の減少:過去3ヶ月で食事量が減ったか(0-2点)
  • 体重減少:過去3ヶ月で3kg以上減ったか(0-3点)
  • 移動能力:ベッド・椅子からの移動、外出の可否(0-2点)
  • 急性疾患やストレス:過去3ヶ月の有無(0-2点)
  • 神経・精神的問題:認知症やうつの有無(0-2点)
  • BMI:体格指数による判定(0-3点)

12-14点なら栄養状態良好、8-11点は低栄養のおそれあり、0-7点は低栄養と判定されます。BMIが測定できない場合は下腿周囲長(CC)で代用できる点も実用的です。

MNA-SFは世界中で標準化されており、日本語版も妥当性が確認されています。特別な検査機器が不要で、対象者への聞き取りと簡単な身体計測だけで実施できるため、介護施設や在宅訪問の現場で広く使われています。

SGAとの違い

SGA(Subjective Global Assessment)は、主に病院での栄養評価に用いられる主観的総合評価です。MNA-SFと異なり、医療者の臨床判断を重視します。

評価項目は大きく2つに分かれます。病歴(体重変化、食事摂取量の変化、消化器症状、機能的能力、疾患と栄養必要量の関係)と身体所見(皮下脂肪の減少、筋肉の消耗、浮腫の有無)です。これらを総合して、A(栄養状態良好)、B(軽度から中等度の栄養不良)、C(高度の栄養不良)の3段階で判定します。

SGAの特徴は、検査値を使わず、問診と視診・触診だけで評価できる点です。手術前の栄養リスク評価や、がん患者の栄養状態把握によく使われます。ただし評価者の経験によって判定がぶれやすく、ある程度のトレーニングが必要です。

MNA-SFが点数化されて客観性が高いのに対し、SGAは臨床的な総合判断を重視する点で対照的です。高齢者施設では前者、急性期病院では後者が選ばれる傾向があります。

アルブミン単独スクリーニングの限界

血清アルブミン値は栄養状態の指標として広く使われていますが、単独でのスクリーニングには限界があります。

アルブミンの半減期は約21日と長く、急性期の栄養状態変化を捉えにくい問題があります。風邪で数日食事が取れなかった程度では値は下がりません。逆に、慢性的な低栄養が進行してから初めて低値を示すため、早期発見には向きません。

さらに、アルブミンは栄養状態以外の要因でも変動します。炎症があると肝臓での合成が低下し、脱水では濃縮されて見かけ上高くなります。ネフローゼ症候群や肝硬変では尿中や腹水への漏出で低下します。つまり、アルブミン低値=低栄養とは限らないのです。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020年版」でも、アルブミンは炎症や疾患の影響を受けやすいため、単独での栄養評価は推奨されていません。MNA-SFのような複数の視点を組み合わせた評価が、より正確な低栄養リスクの把握につながります。

実務では、アルブミン値を参考にしつつ、体重変化・食事摂取量・身体機能を合わせて総合的に判断する必要があります。

フレイルとの関連

低栄養はフレイル(虚弱)の主要な原因の一つです。フレイルとは、加齢により予備能力が低下し、ストレスに対する回復力が弱まった状態を指します。

低栄養が続くとエネルギー不足からサルコペニア(筋肉量・筋力の低下)が進行し、身体的フレイルに至ります。筋力低下は転倒リスクを高め、転倒への恐怖から活動量がさらに減る悪循環が生まれます。食事摂取量の低下は微量栄養素の不足も招き、免疫機能の低下や認知機能への影響も報告されています。

MNA-SFでの低栄養スクリーニングは、フレイルの早期発見にもつながります。「食事量の減少」「体重減少」「移動能力の低下」といった項目は、いずれもフレイルの構成要素と重なります。MNA-SFで8点以下の「低栄養のおそれあり」と判定された場合、フレイルの可能性も考慮した包括的な評価が求められます。

日本老年医学会のフレイル診療ガイド2018年版では、栄養介入がフレイル予防に有効であることが示されています。特にたんぱく質摂取(1.0-1.2g/kg/日以上)とビタミンD補充の重要性が強調されており、低栄養スクリーニングで早期に介入することの意義は大きいと言えます。

aiyolabで聞いてみた

「MNA-SFの具体的な使い方を教えて」とaiyolabのAIチャットに質問すると、日本老年医学会の資料や食事摂取基準2020を根拠に、各項目の評価方法や判定基準が返ってきます。「アルブミンだけで低栄養を判断していいか」と尋ねれば、炎症マーカーとの併用や体重変化の確認が必要な理由が、出典つきで確認できます。実習のレポートや栄養指導の下調べに使えるので、疑問が出たときに試してみてください。

まとめ

高齢者の低栄養スクリーニングには、MNA-SFのような簡便で標準化されたツールが有効です。アルブミン値は参考になりますが、単独での判断は避け、体重変化や食事摂取状況と合わせて評価することが大切です。低栄養はフレイルと密接に関連しており、早期発見と適切な栄養介入が高齢者のQOL維持につながります。

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