給食の原価管理とABC分析、経営管理の基本

給食経営管理論原価管理ABC分析国家試験

給食施設で原価管理を任されたとき、何百種類もある食材のどれを優先的に管理すればいいのか迷うことがあります。すべての食材を同じ労力で管理するのは非効率ですし、重要な品目を見落とすリスクもあります。そこで役立つのがABC分析です。この手法を使えば、限られた時間と人員で効果的に原価をコントロールできます。

ABC分析の基本的な考え方

ABC分析は、在庫品目を金額の大きい順にA・B・Cの3段階に分類し、重要度に応じて管理の濃淡をつける手法です。この背景にあるのがパレートの法則(80:20の法則)で、「全体の20%の品目が金額の80%を占める」という経験則に基づいています。

給食施設で扱う食材を例にとると、肉類や魚介類など単価の高い主菜材料は品目数こそ少ないものの、食材費全体の大部分を占めます。一方で、調味料や香辛料は種類が多くても金額への影響は小さい。この構造を可視化し、管理の優先順位をつけるのがABC分析の目的です。

具体的には、まず全食材を年間使用金額の大きい順に並べます。そのうえで累積構成比を計算し、上位から順にA群・B群・C群に振り分けます。

A群・B群・C群の切り分け方

一般的な切り分けの目安は次の通りです。

  • A群:累積構成比70%までの品目(全体の約10〜20%の品目数)
  • B群:累積構成比70〜90%の品目(全体の約20〜30%の品目数)
  • C群:累積構成比90〜100%の品目(全体の約50〜70%の品目数)

たとえば年間食材費が1,000万円の施設で、上位5品目(牛肉、豚肉、鶏肉、魚、米)だけで700万円を占めていれば、これらがA群に分類されます。品目数では全体の10%にも満たないのに、金額ベースでは7割を占めるわけです。

A群に分類された食材は、発注量の精査、納品時の検収、在庫量のチェックを厳密に行います。単価交渉や仕入先の見直しもA群から優先的に取り組むべきです。逆にC群は簡易的な管理で済ませ、在庫切れを防ぐ程度の注意を払えば十分です。

この切り分けには絶対的な正解があるわけではなく、施設の規模や提供食数、メニュー構成によって調整します。ただし70-20-10の比率は多くの給食施設で実用性が高く、管理のメリハリをつけやすい目安として使われています。

損益分岐点の求め方

原価管理と並んで重要なのが、給食事業全体の収支バランスを把握することです。そのために使われるのが損益分岐点分析です。

損益分岐点とは、総収入と総費用が等しくなる点、つまり赤字でも黒字でもない状態を指します。この点を超えて食数や売上が増えれば利益が出ますし、下回れば赤字になります。

損益分岐点は次の式で求められます。

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率

ここで固定費とは、食数に関係なく一定額発生する費用のことで、人件費、減価償却費、賃借料などが該当します。一方、変動費は食数に比例して変動する費用で、給食では主に食材費がこれに当たります。

限界利益は「売上高-変動費」で計算され、限界利益率は「限界利益÷売上高」で求めます。たとえば1食500円の給食で食材費が150円なら、限界利益は350円、限界利益率は70%です。

仮に月の固定費が200万円、限界利益率が70%なら、損益分岐点売上高は約286万円となります。1食500円なら5,720食を提供すれば収支が均衡する計算です。

この数値を把握しておくと、食数が減少したときにどの程度の赤字リスクがあるか、逆に食数増加でどれだけ利益が見込めるかを判断できます。委託給食や社員食堂など、事業として採算性を求められる施設では特に重要な指標です。

食材費率と人件費率の目安

損益分岐点と合わせて確認しておきたいのが、食材費率と人件費率です。

食材費率は「食材費÷売上高×100」で算出され、一般的に30〜40%が適正とされます。40%を超えると食材費が過大で、メニューの見直しや仕入先の変更、発注量の適正化が必要です。

人件費率は「人件費÷売上高×100」で求め、30〜35%が目安です。食材費率と人件費率を合わせた原価率が60〜75%程度に収まっていれば、経営として健全な範囲といえます。

ABC分析で食材費をコントロールしつつ、全体の原価率を適正範囲に保つことが、給食経営の基本です。どちらか一方だけを見ていても、収支のバランスは崩れてしまいます。

aiyolabで聞いてみた

ABC分析の具体的な計算手順や、自施設の損益分岐点をどう求めればいいか迷ったときは、aiyolabのAIチャットに質問してみるのも一つの方法です。「給食施設のABC分析の手順を教えて」「損益分岐点の計算例を見せて」といった質問に対して、公的なガイドラインや管理栄養士養成課程のテキストを根拠に回答が返ってきます。出典つきで確認できるため、レポート作成や施設内での提案資料を作るときの下調べに使えます。

まとめ

ABC分析は、食材を金額の大きい順にA・B・Cに分類し、重要度に応じた管理を行う手法です。A群は全体の20%程度の品目で金額の70%を占めるため、発注・在庫管理を重点的に行います。損益分岐点は固定費を限界利益率で割ることで求められ、給食事業の採算性を判断する重要な指標です。食材費率と人件費率を合わせて管理し、全体の原価率を適正範囲に保つことが、給食経営の安定につながります。

食事摂取基準2025・食品成分表ベースのAI栄養ツール

aiyolabを無料で試す

無料で始める