食事摂取基準2025、何が変わった?変わらなかったことも整理

食事摂取基準2025改定国家試験管理栄養士

国家試験の勉強をしていると、「食事摂取基準2025って2020年版と何が違うの?」と迷うことがあります。報告書は約500ページあり、全部読むのは現実的ではありません。この記事では、厚生労働省の報告書の数値をもとに、実際に変わった点と、変わったと思い込みやすいが同じ点を分けて整理します。

2020年版から変わった点

大きな方向転換ではなく、数値の更新と対象の追加が中心です。

  • ビタミンDの目安量:成人は2020年版の8.5μg/日から、2025年版で9.0μg/日になりました。65歳以上を含む成人は男女とも9.0μg/日です。乳児(0〜5か月、6〜11か月)は5.0μg/日で、2020年版と同じです。年齢区分によって動き方は異なり、すべての年齢で上がったわけではありません。
  • 妊婦の鉄の付加量(中期・後期):推奨量の付加量が、2020年版の+9.5mg/日から、2025年版の+8.5mg/日になりました。初期の+2.5mg/日は同じです。
  • n-3系脂肪酸の目安量:1歳以上の目安量は、平成30年・令和元年の国民健康・栄養調査のn-3系脂肪酸摂取量の中央値をもとに決められていて、調査の更新に合わせて多くの年齢区分で数値が動きました。心血管疾患のエビデンスから決めた値ではありません。
  • 骨粗鬆症の節の新設:生活習慣病(高血圧・脂質異常症・糖尿病・慢性腎臓病)に加えて、生活機能の維持・向上に係る疾患として、骨粗鬆症の節が新しく設けられました。
  • 参照体位:成人の参照体位が、平成30年・令和元年の国民健康・栄養調査をもとに更新されました。

2020年版から変わらなかった点

「変わった」と思い込みやすい項目です。国試では、現行の数値そのものが問われます。

  • 食塩相当量の目標量:成人男性7.5g/日未満、成人女性6.5g/日未満のままです。高血圧と慢性腎臓病の重症化予防を目的とした量は、6.0g/日未満です(「目標量」とは別の指標です)。算定の考え方は、WHOが成人に強く推奨する5g/日未満と、現在の摂取量の中央値との中間をとる方式で、2020年版にも同じ記述があります。
  • カリウムの目標量:成人男性3,000mg/日以上、成人女性2,600mg/日以上で、2020年版と同じです。
  • 飽和脂肪酸:18歳以上で7%エネルギー以下のままです。
  • 妊婦のエネルギー付加量:初期+50kcal/日、中期+250kcal/日、後期+450kcal/日で、2020年版と同じです。
  • たんぱく質の目標量(エネルギー比率)の下限:49歳以下は13%、50〜64歳は14%、65歳以上は15%で、高齢者ほど高い設定です。2020年版から変わっていません。
  • 身体活動レベル:3区分のままです。表記は、2020年版のⅠ・Ⅱ・Ⅲから、2025年版で「低い・ふつう・高い」に変わっています。
  • たんぱく質の推奨量の算定:窒素出納法による維持必要量(体重1kgあたり0.66g)を、利用効率で補正して推定平均必要量とする方式で、2020年版と同じです。成人の推奨量は、体重1kgあたり約0.9gになります。

数値の根拠を取り違えやすい項目

  • コレステロール:目標量は設定されていませんが、上限が存在しないことを保証するものではありません。脂質異常症の重症化予防の目的からは、200mg/日未満が望ましいと記されています。
  • 葉酸:妊婦(中期・後期)の推奨量の付加量は+240μg/日です。妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の妊婦には、通常の食品以外の食品に含まれる葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)を400μg/日とることが望まれます。付加量の+240と、サプリメント等の400は、別の話です。
  • 慢性腎臓病の食事療法:ステージ別の基準の多くは、食事摂取基準が新しく決めたものではありません。報告書は、慢性腎臓病の章でG1〜G3aを対象とし、G3b以降は日本腎臓学会のガイドラインを参照するよう求めています。日本腎臓学会「慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版」では、たとえば、たんぱく質はG3aで0.8〜1.0g/kg標準体重/日、G3b以降で0.6〜0.8g/kg標準体重/日、血液透析と腹膜透析では0.9〜1.2g/kg標準体重/日です。食塩は保存期で3g以上6g未満、カリウムはG3bで2,000mg/日以下、G4〜5で1,500mg/日以下、血液透析で2,000mg/日以下です。
  • 悪液質や神経性やせ症などの個別の疾患:食事摂取基準2025年版は、疾患のある人の栄養管理には、その疾患のガイドラインを用いるとしています。これらの栄養管理の基準は、食事摂取基準の変更点ではありません。

aiyolabで聞いてみた

食事摂取基準2025の内容について、aiyolabのAIチャットに質問すると、報告書の表を根拠にした回答が出典つきで返ってきます。「成人のビタミンDの目安量は?」「妊婦の鉄の付加量は?」といった具体的な問いで、数値を確認できます。約500ページの報告書を読み込む時間がないときの、下調べに使えます。数値を引用するときは、最後に厚生労働省の報告書の該当ページで確認してください。

まとめ

食事摂取基準2025は、2020年版からの大幅な方向転換ではなく、ビタミンD、妊婦の鉄、n-3系脂肪酸の数値の更新と、骨粗鬆症の節の新設が、この記事で取り上げた変更点です。成人の食塩・カリウムの目標量、18歳以上の飽和脂肪酸、妊婦のエネルギー付加量などは、2020年版と同じです(小児など一部の年齢区分では、食塩やカリウムの値が変わっています)。国試では、変更点そのものより、現行の数値と、その根拠(どの資料の基準か)を問われます。変わった点と変わらない点を分けて覚えておくと、選択肢の誤りに気づきやすくなります。


出典

関連記事

食事摂取基準2025・食品成分表ベースのAI栄養ツール

aiyolabを無料で試す

無料で始める